病気があるときの運転免許 質問票の5項目・診断書・医師の届出
運転免許を取るときと更新するときは、病気に関する質問票を出します。「はい」と答えても、それだけで免許が取り消されることはありません。公安委員会が本人に話を聞き、必要なら医師の診断書を求めたうえで、運転に支障があるかどうかを判断します。
注意したいのは、質問票にうそを書くことです。道路交通法117条の4は、質問票に虚偽の記載をして提出した人を、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金としています。この記事は一般的な情報です。個別の判断は住所地の運転免許センターや警察署、主治医などにお願いします。内容は2026年11月5日に確認しました。
質問票を出す場面と質問の内容
質問票は、免許の申請(道路交通法89条)と更新(101条)のときに交付されます。神奈川県警の案内では、平成26年(2014年)6月1日施行の改正で提出が義務になり、出さないと手続ができません。

質問は5項目で、「はい」か「いいえ」で答えます。神奈川県警と滋賀県警の案内から、内容をまとめます。
- 過去5年以内に、病気が原因(または原因不明)で意識を失ったことがある
- 過去5年以内に、病気が原因で身体の一部または全部が一時的に思いどおり動かせなくなったことがある
- 十分な睡眠をとっていても、日中の活動中に眠り込んでしまうことが週3回以上ある
- 過去1年以内に、飲酒に関する問題(繰り返しの飲酒や、医師の助言を受けたのに飲酒したこと)がある
- 病気を理由に、医師から運転免許の取得や運転を控えるよう助言を受けている
質問の正確な文言は、お住まいの県警の質問票で確認してください。ここでの言い回しは、案内ページの要約です。
「はい」と答えたあとの流れ
神奈川県警と滋賀県警は、「はい」と答えても直ちに免許の拒否や保留、取消し、停止になるわけではないと案内しています。判断は医師の診断を参考に行われます。

滋賀県警のページでは、流れは次のとおりです。
- 質問に「はい」と答えた人や、病気を申告した人に、職員が症状などを個別に聞く
- 症状によっては、主治医などの診断書の提出を求められる
- 診断書の内容によっては、道路交通の安全のために、免許の取消しや停止が行われることがある
安全な運転に支障がないと判断されれば、免許の取得や継続ができます。質問票の記載だけで取得や更新の適否が決まるわけではない、と滋賀県警は書いています。不安があるときは、申請の前に相談できます。
免許に影響する病気と、条文の書き方
免許の拒否・保留(90条)や、取消し・停止(103条)の理由になる病気は、法律と政令に定めがあります。道路交通法103条1項1号は、幻覚の症状を伴う精神病、発作で意識障害や運動障害をもたらす病気、その他自動車の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気を挙げ、具体的な病名は政令に任せています。

道路交通法施行令33条の2の3は、次の病気を挙げています。
- 統合失調症
- てんかん
- 再発性の失神
- 無自覚性の低血糖症
- そううつ病(そう病と、うつ病を含む)
- 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
- このほか、安全な運転に必要な認知、予測、判断、操作のいずれかの能力を欠くおそれがある症状を呈する病気
ここで大事なのは、病名だけで決まらないことです。統合失調症とそううつ病は、運転に必要な能力を欠くおそれがある症状を呈しないものが除かれています。てんかんは、発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害と運動障害が起きないもの、発作が睡眠中に限るものが除かれています。無自覚性の低血糖症も、人為的に血糖を調節できるものが除かれます。
認知症(103条1項1号の2)と、アルコールや麻薬などの中毒(同3号)は、別の号で定められています。認知症の検査は75歳以上の免許更新にまとめています。
医師の届出と、取消しのあと
道路交通法101条の6は、医師が診察した人について、103条1項1号(病気)・1号の2(認知症)・3号(アルコール等の中毒)のいずれかに当たると認めたとき、その結果を公安委員会に届け出ることができると定めています。届け出る義務ではなく、できる規定です。同条3項は、刑法の秘密漏示罪など守秘義務の規定が、この届出を妨げるものと解釈してはならないとしています。

免許の効力を90日以上停止するときは、聴聞を行う決まりです(104条の2第1項)。取り消した場合は、公安委員会が1年以上5年を超えない範囲で、免許を受けられない期間を指定します(103条7項)。
取消しのあとの再取得については、神奈川県警と滋賀県警が、病気を理由に取り消された人が取消しから3年以内に回復して再取得するときは、試験が免除されると案内しています。書き方は両県警で少し違い、神奈川県警は学科試験と技能試験が免除されるとし、滋賀県警は試験の一部が免除される場合があるとしています。虚偽の回答などの例外もあります。実際の扱いは、住所地の警察に確認してください。
不安があるときの相談先
神奈川県警は、運転免許を取りたい人の運転適性相談と、病気等に心当たりのある人の運転適性相談を、本人と家族から受け付けています。滋賀県警も「安全運転相談」のページで相談を受けています。電話番号と窓口は県ごとに違うため、住所地の警察本部の運転免許課や、運転免許センターのページで確認してください。
家族に運転を控えてほしい場面では、親に免許返納を勧めたいときで、安全運転相談の窓口と診断書の制度を説明しています。免許をやめると決めた場合の手続は運転免許を自主返納する手続きにあります。
出典
- 道路交通法 89条・90条・101条・101条の6・103条・104条の2・117条の4: e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105 (2026年11月5日確認)
- 道路交通法施行令 33条の2の3: e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335CO0000000270 (2026年11月5日確認)
- 神奈川県警察「運転免許の質問票(病気等に関する質問)」: https://www.police.pref.kanagawa.jp/tetsuzuki/menkyo/mes83091.html (2026年11月5日確認)
- 滋賀県警察「適性検査」: https://www.pref.shiga.lg.jp/police/menkyo/tekisei/104443.html (2026年11月5日確認)