運転免許返納の手引き

免許証を返したあとの本人確認 運転経歴証明書とマイナンバーカード

内容の確認日: 2026年11月5日

免許証を返納したあとの本人確認には、運転経歴証明書かマイナンバーカードを使うのが基本になります。犯罪収益移転防止法の施行規則は、本人確認書類として「運転免許証等」を挙げています。その中に、運転経歴証明書(交付年月日が2012年(平成24年)4月1日以降のもの)も含まれます。写真付きの個人番号カード(マイナンバーカード)も、同じ区分に入っています。

注意点は、金融機関などの窓口で実際に何を受け付けるかが、法令の書類の一覧とは別に確認が必要なことです。非対面の本人確認は、2027年4月1日の規則改正で方法が変わる予定です。この記事は一般的な情報で、個別の判断は取引する金融機関などの窓口にお願いします。内容は2026年11月5日に確認しました。

本人確認が求められる場面と法律のしくみ

犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)は、「特定事業者」に、顧客との一定の取引のときの確認を義務づけています(4条)。特定事業者には、銀行、信用金庫、信用協同組合、農業協同組合などが並んでいます(2条2項)。

北國銀行のATMコーナー
写真: Hirorinmasa / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

確認するのは、次の事項です(4条1項)。

  • 本人特定事項: 自然人は氏名、住居、生年月日
  • 取引を行う目的
  • 職業(法人は事業の内容)

確認が必要な取引は、事業者の区分ごとに別表で決まっています。別表には、次のような例があります。

事業者の区分別表に書かれた取引の例
銀行など(2条2項1号から38号)預貯金契約の締結、為替取引
クレジットカード等の事業者(40号)クレジットカード等の交付・付与を内容とする契約の締結
宅地建物取引業者(42号)宅地または建物の売買契約の締結
貴金属等の売買の業者(43号)貴金属等の売買契約の締結

実際に確認が必要になるかどうかは、取引の内容や政令の定めによって変わります。同じ事業者との間で、以前に確認と確認記録の作成・保存を済ませている顧客との取引のうち政令で定めるものは、確認が不要とされています(4条3項)。

どの書類が使えるか 施行規則7条の区分

使える書類は、犯罪収益移転防止法施行規則7条が決めています。自然人の書類を、写真の有無で並べます。

京丹後市役所の本庁舎
写真: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)
区分書類の例
7条1号イ(写真付き)運転免許証、運転経歴証明書(2012年4月1日以降の交付)、在留カード、特別永住者証明書、個人番号カード(写真が貼り付けられたもの)、旅券、身体障害者手帳など
7条1号ハ(写真なしの書類など)資格確認書(国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療など)、介護保険の被保険者証、児童扶養手当証書、印鑑登録証明書など
7条1号ニ印鑑登録証明書、戸籍の附票の写し、住民票の写し、住民票の記載事項証明書

書類の新しさにも条件があります。イとハの書類は、事業者が提示や送付を受ける日に有効なものであることが条件です。それ以外の書類(住民票の写しなど)は、受け取る日の前6か月以内に作られたものです。

確認の方法は、施行規則6条1項1号に書かれています。対面の場合の主な方法を、条文を言い換えて示します。

  • 写真付きの本人確認書類の提示を受ける方法。運転経歴証明書や個人番号カードのような写真付きの書類なら、これが基本になります
  • 写真付きではない書類の提示を受け、書類に記載された住居に、取引関係文書を書留郵便などで転送不要の郵便物として送る方法
  • ハの書類のうち2点の提示を受ける方法。ハの書類と、ロ、ニ、または現在の住居が書かれた補完書類を組み合わせる方法もあります

運転経歴証明書は写真付きの区分なので、1点で提示できます。写真のない書類は、2点が必要になったり、郵送の手間がかかったりします。ここまでが法令の書類の一覧です。窓口で何を受け付けるかは、各金融機関の案内でも確かめてください。

運転経歴証明書とマイナンバーカードの使い分け

警察庁の案内では、運転経歴証明書は、返納または失効から5年以内に申請できます。2012年(平成24年)4月1日以降に交付されたものは、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。5年を過ぎると交付を受けられないため、本人確認用に持つつもりなら、期限に気をつけます。

見附郵便局の建物
写真: Tail furry / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

運転経歴証明書の注意点は次のとおりです。

  • 運転はできません
  • 身分証明書として使えますが、対応していない機関もあります(警視庁の案内)
  • 鳥取県警察の案内では、住所などが変わった場合は、記載事項の変更手続きが必要です。規則7条の確認では氏名、住居、生年月日が書類に載っていることが前提になるため、住所が変わったら手続きを済ませておきます
  • 警察署での申請は後日の交付になる例があります(山梨県警察、鳥取県警察の案内)。免許センターは当日または即日です

マイナンバーカードは、規則7条1号イで、写真が貼り付けられたものが写真付きの書類に入っています。総務省の公的個人認証の説明では、カードに2種類の電子証明書があります。

  • 署名用電子証明書: 電子文書を作成・送信したことを示します。e-Taxなどで使います。基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)が含まれます。暗証番号は6〜16文字の英数字です
  • 利用者証明用電子証明書: ウェブサイトへのログインなどで、本人であることを示します。基本4情報は含まれません。暗証番号は4桁です

どちらも市区町村の窓口で申請し、無料です。総務省のページでは、有効期間は発行から5回目の誕生日までとされています。署名用は、住所、氏名、性別が変わると失効します。

運転経歴証明書とマイナンバーカードを両方持つと、場面によって使い分けられます。鳥取県警察の案内では、運転経歴証明書だけ、マイナンバーカードへの運転経歴情報の記録だけ、その両方を選べます。手数料は山梨県警察と鳥取県警察の案内で同じ3区分があります。額は免許返納の特典と運転経歴証明書で扱っています。

2027年4月からの非対面の変更と、返納前の準備

インターネットで口座を開くような非対面の取引では、確認の方法が決まっています。規則6条1項1号のホは、事業者が提供するソフトウェアで、本人の容貌と写真付き本人確認書類の画像の送信を受ける方法です。ヘは、容貌の画像と、書類のICチップに記録された情報の送信を受ける方法です。

セブン銀行のATM
写真: Stefan Krasowski / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)

金融庁は2026年10月9日、金融機関等に注意喚起を出しました。なりすましの手口が巧妙になっているため、画像に不自然な点がないか確認を徹底するよう求めています。あわせて次の予定が示されています。

  • 2027年4月1日に犯罪収益移転防止法施行規則の改正が施行されます
  • 施行の日から、本人確認書類の画像の送信を受ける方法は廃止されます
  • 本人確認の方法は、ICチップ情報の読み取りに原則として一本化されます

運転経歴証明書がICチップ付きかどうか、改正後に非対面で使えるかどうかは、確認した資料に書かれていませんでした。この点は書きません。非対面の手続きをするときは、その事業者に使える書類を確かめてください。

免許証を返す前に、次のことを済ませておくと、本人確認で困りにくくなります。

  1. 運転経歴証明書を、返納と同時に申請するかを決める(警視庁には、自主返納と同時に交付を申請する手続きの案内があります)
  2. 交付までの日数を確かめる。警察署で申請すると後日の交付になる例があります
  3. マイナンバーカードなど、ほかの写真付き書類の有効期限と暗証番号を確かめる
  4. 口座のある銀行や信用金庫などに、窓口で使える書類を事前に確認する

返納に関する手続きの全体は免許返納の特典と運転経歴証明書と、免許を返納したあと、車はどうするで扱っています。

出典

いずれも2026年11月5日に確認しました。法令は確認時点の現行条文です。窓口で受け付ける書類は、事業者ごとに案内が違う場合があります。

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