運転免許返納の手引き

親に免許返納を勧めたいとき 安全運転相談#8080と診断書の制度

内容の確認日: 2026年11月5日

親の運転が心配で免許返納を勧めたいときは、都道府県警察の安全運転相談窓口に相談できます。全国共通の電話番号は「#8080」です。警察庁の案内では、相談できる人に、運転に不安がある高齢ドライバーとその家族が挙げられています。

本人が運転をやめることに納得しないときも、警察の手続きには道筋があります。認知機能検査の結果、医師の診断書の提出命令、医師による届出、臨時適性検査などです。条文の根拠もあわせて整理します。この記事は一般的な情報で、個別の判断は警察の安全運転相談窓口や医師などの専門家にお願いします。内容は2026年11月5日に確認しました。

まず相談できる窓口と#8080

警察庁の「安全運転相談窓口について」によると、窓口は都道府県警察が設置しています。看護師などの医療系専門職を含む、専門知識のある職員が対応します。

下野警察署の庁舎
写真: ほぶ / パブリックドメイン(Wikimedia Commons)

確認できた内容は次のとおりです。

  • #8080は全国共通の専用番号で、電話をかけた場所を管轄する都道府県警察の窓口につながります
  • つながらないときは、最寄りの都道府県警察の窓口に直接電話します
  • 受付は原則として平日の執務時間内です。通話料は利用者の負担です
  • 相談できるのは、加齢による身体機能の低下で運転に不安がある高齢ドライバーとその家族です。身体の障害や病気のため安全な運転に支障がある人も相談できます
  • 高齢ドライバーは、安全運転を続けるための助言や指導を受けられます。自主返納の制度と、返納者向けの支援策の説明も受けられます

警察庁の認知機能検査Q&Aには、家族についての相談も、運転免許試験場などの安全運転相談窓口か最寄りの警察署で受け付けると書かれています。窓口で相談したことが、そのまま免許の処分につながるわけではありません。処分は、次の節の手続きに沿って公安委員会が判断します。

病気や障害が理由の場合、警察庁の案内は、条件を付けて運転を続けられる場合や治療で回復する場合もあるため、窓口への積極的な相談を勧めています。

認知機能検査の結果と、診断書の提出・臨時適性検査

75歳以上の人は、免許の更新のときに認知機能検査を受けます。警察庁のQ&Aでは、更新期間の満了日に75歳以上の人は、普段運転しなくても受ける必要があるとされています。

浦和駅前の交番
写真: Ebiebi2 / CC0(Wikimedia Commons)

結果が「認知症のおそれあり」だった場合の流れを、警察庁のQ&Aと道路交通法102条から整理します。

  1. 検査の結果が内閣府令の基準に当たると、公安委員会は臨時適性検査を行うか、医師の診断書を提出するよう命じます(102条1項から3項)。診断書の提出期限は公安委員会が指定します
  2. 警察から通知が来ます。専門医による臨時適性検査を受けるか、診断書を提出します
  3. 診断の結果によっては、聴聞などの手続きを経て、免許の取消しや停止が行われます

認知機能検査は簡易な確認で、医学的な診断ではありません。警察庁のQ&Aは、判定の結果だけで認知症と決まるわけではなく、診断は医師が行うと説明しています。判定だけで免許がすぐ取り消されることもありません。

検査の結果以外にも、道路交通法102条4項は、免許を受けた人が認知症などに当たると疑う理由があるとき、公安委員会が臨時適性検査を行い、または診断書の提出を命じることができると定めています。この場合、公安委員会は質問票の内容なども考慮することになっています。

75歳以上で一定の違反をした人には、臨時認知機能検査があります(101条の7)。対象の違反は政令で決まっています。通知を受けてから通算1か月を超えるまでに検査を受ける必要があります。

通知や命令に従わない場合の扱いも条文にあります。公安委員会は、認知機能検査や診断書の提出命令に応じないとき、政令の基準に従って免許を取り消し、または6か月を超えない範囲で効力を停止できます(104条の2の3第3項)。ただし、やむを得ない理由がある場合は除かれます。

医師の届出と、取消し・停止

医師には、診察した患者が運転に支障のある病気に当たると認めたとき、診察の結果を公安委員会に届け出る制度があります。根拠は道路交通法101条の6です。

中部国際医療センターの外観
写真: 社会医療法人厚生会中部国際医療センター / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

条文の言い方は「届け出ることができる」です。義務ではなく、医師の判断による任意の届出です。次の点も定められています。

  • 対象は、第103条1項の1号、1号の2、3号のいずれかに当たる人です。1号は一定の病気、1号の2は認知症、3号はアルコールや薬物の中毒です
  • 届出の前に、医師は診察した人が免許を受けた人かどうかを公安委員会に確認できます(2項)
  • 刑法の秘密漏示罪など、守秘義務の規定は届出を妨げないと定められています(3項)

家族が「医師の診断書の提出制度」を使いたいと考える場面では、診断書の提出を命じるのは医師ではなく公安委員会であることに注意してください。命令は102条に基づくものです。届出は101条の6に基づく別の制度です。

認知症であることが判明したときは、公安委員会は免許を取り消し、または6か月を超えない範囲で効力を停止できます(103条1項1号の2)。

取消しと自主返納は、法律上の位置づけが違います。

表は左右に動かして読めます。

項目公安委員会による取消し自主返納(申請による取消し)
条文道路交通法103条道路交通法104条の4
始まり公安委員会の判断本人の申請
免許を受けられない期間103条1項による取消し(4号を除く)では、1年以上5年を超えない範囲で指定される(103条7項)104条の4に、同様の規定は置かれていない
運転経歴証明書取消しの基準に当たる場合は交付されない5年以内に申請すれば交付される

警察庁の案内では、停止や取消しの基準に当たる人は自主返納できません。そのため、診断が出た後に自主返納へ切り替えられるかは、公安委員会の手続きの進み具合によります。個別の事情は警察の窓口に確認してください。

家族が話を切り出す前に整理しておくこと

警察庁のQ&Aは、認知機能検査の判定が出た人について、信号無視や一時停止違反、進路変更の合図の遅れが見られることがあるため注意し、医師や家族に相談することを勧めています。家族が相談するときも、具体的な様子があると窓口は状況をつかみやすくなります。

みやま市のコミュニティバス
写真: Muyo / CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)

相談の前に、次のことを書き出しておくと話が進みます。

  • 気づいた運転の様子(日付や場所が分かるもの)
  • 通院先やかかりつけ医の有無
  • 免許証の有効期限と、更新の時期
  • 運転をやめた場合に困ること(買い物、通院、仕事)

運転をやめた後の生活については、返納者への支援が地域で違います。内容は免許返納の特典と運転経歴証明書で扱っています。車の処分や税金は免許を返納したあと、車はどうするで説明しています。

警察庁のQ&Aには、大型免許だけを取り消して普通免許を残す一部の返納もできると書かれています。この場合、運転経歴証明書は交付されません。

この記事では、家族が本人に代わって免許の取消しを申請できるかどうかは扱っていません。警察庁の資料でこの点を確かめられなかったためです。気になるときは、#8080か最寄りの警察署に聞いてください。

出典

いずれも2026年11月5日に確認しました。法令は確認時点の現行条文です。運用の細部は都道府県警察で違う場合があります。

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