免許返納の特典と運転経歴証明書 自治体・協賛店の例と確認点
運転免許を自主返納すると、自治体や事業者による支援を受けられる場合があります。ただし全国共通の制度ではありません。警察庁の案内は、自主返納した人への支援を、自治体や事業者などが地域の実情に応じて行っているものと説明しています。内容も対象者も期限も、住んでいる地域で違います。
支援を受ける場面でよく出てくるのが運転経歴証明書です。ただし何を提示するかは実施する側で違い、運転経歴証明書の写しを求める市もあれば、取消通知書で足りる市もあります。この記事は一般的な情報で、個別の判断は各都道府県警察や市区町村の担当窓口などにお願いします。内容は2026年11月5日に確認しました。
特典の仕組みと探し方
返納の特典は、法律で全国一律に決まったものではありません。実施しているのは、都道府県警察と事業者の協議会、市区町村、個々の事業者などです。

警察庁の「運転免許証の自主返納について」は、支援の詳細を全日本指定自動車教習所協会が運営する高齢運転者支援サイトで確認できると案内しています。申請場所や必要書類については、各都道府県警察の運転免許センター等に問い合わせるよう求めています。
この記事で取り上げる例を、実施主体ごとに整理します。
表は左右に動かして読めます。
| 実施主体 | この記事の例 | 出どころ |
|---|---|---|
| 警察と事業者の協議会 | 加盟店・美術館などでの優待 | 警視庁の案内 |
| 都道府県警察の案内する事業者割引 | タクシー料金の割引 | 山梨県警察の案内 |
| 市 | バスやタクシーの乗車券、乗車カードの交付 | 鶴岡市、八千代市の案内 |
自分の地域の制度を探す順番は、次のとおりです。
- 住んでいる都道府県の警察のページで、返納者向けの優待や協議会の有無を見る
- 市区町村のページで、返納者向けの支援事業を見る(交通安全、高齢者福祉、防災安全などの課が担当している例があります)
- 利用したい店や交通事業者に、返納者向けの優待があるかを直接聞く
運転経歴証明書とは
運転経歴証明書は、運転免許を受けていた経歴を公安委員会が証明するカードです。多くの特典で提示を求められます。

警察庁の案内では、自主返納した人と、更新を受けずに免許が失効した人が交付を受けられます。返納や失効から5年以上たった場合は交付を受けられません。交通違反などで免許を取り消された場合も同じです。2012年(平成24年)4月1日以降に交付された証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として使えます。本人確認の使い方は免許証を返したあとの本人確認で説明しています。
注意点が3つあります。
- 運転はできません。警視庁の案内にも、運転経歴証明書では運転できないと書かれています
- 身分証明書として使えますが、対応していない機関もあります(警視庁の案内)
- 返納の取消しが、免許の一部だけの場合は交付されません。鳥取県警察の案内は、免許の一部だけを取り消した場合は証明書やマイナンバーカードへの記録ができないとしています
手数料と受付の方法は、都道府県で違う可能性があります。確認できた例を挙げます。
- 山梨県警察の案内(令和7年3月24日以降): 経歴証明書のみ1,150円、マイナ経歴証明書のみ900円、両方1,250円。免許センターは当日交付、警察署は申請から2〜3週間後の交付です
- 鳥取県警察の案内: 同じ3区分で同じ金額です。免許センターは即日、警察署や幹部派出所は申請後1〜2週間程度の交付です。鳥取県警察の案内では、証明書だけ、マイナンバーカードへの運転経歴情報の記録だけ、その両方から選べます
お住まいの県で同じとは限りません。申請前に警察のページか運転免許センターで確かめてください。
警察と協賛事業者による優待の例
警視庁は、運転経歴証明書を提示すると高齢者運転免許自主返納サポート協議会の加盟店や美術館などで各種の特典を受けられると案内しています。具体的な内容は、警視庁サイトの加盟企業・団体の特典一覧に載っています。

港区の案内には、この協議会の特典の例として、個人タクシーや一部の法人タクシーの乗車料金の割引、デパートの配送無料サービスが挙げられています。港区の案内では、特典の対象は原則として65歳以上です。利用の前に、実施している店舗へ問い合わせるよう勧めています。警視庁の特典一覧のページにも、特典の内容は変更になることがあると書かれています。
山梨県警察の案内では、運転経歴証明書があると、山梨県内のタクシー協会に加盟する会社でタクシー料金が1割引きになります。同じ案内は、市町村ごとの支援事業があるため、内容は各市町村に問い合わせるよう書いています。
返納の特典と混同しやすい制度もあります。世田谷区の案内にある東京都シルバーパスは、満70歳以上の都民が申し込める制度です。自主返納者向けではなく、対象は年齢で決まります。
市の支援の例と、受ける前の確認点
市区町村の支援は、内容の差が最も大きい部分です。ここでは、市の公式ページを開いて確かめた2つの市の例を示します。他の市に同じ制度があるとは限りません。

山形県鶴岡市の案内(2026年4月13日更新)は次のとおりです。
- 対象: 鶴岡市に住民登録があり、運転免許の全部を自主返納して、申請による運転免許の取消通知書に書かれた取消日から1年以内に手続きした人
- 内容: タクシー乗車券(500円券10枚)、バス乗車カード「チェリカ」(総額5,000円。電子マネー4,500円分とカード手数料500円)、市営バス回数券(100円券55枚)のうち、いずれか1種類を1回限り
- 条件: タクシー乗車券は山形県ハイヤー協会に加入する会社でのみ使えます。市営バス回数券は羽黒地区でのみ使えます
- 受け取り: 市役所6階の防災安全課で、取消通知書と本人の身分証明書を持って手続きします
- 運転経歴証明書: 市が手数料を負担します。鶴岡警察署交通課で手続きし、取消通知書を持参します
千葉県八千代市の案内(2026年10月1日更新)は次のとおりです。
- 対象: 市内に住民登録がある65歳以上で、2017年(平成29年)4月1日以降に運転経歴証明書の交付を受けた人
- 内容: 1枚500円分のタクシー券を20枚。一人1回限りで、再発行はできません。有効期間は交付日から3年を経過する日の属する月の末日までです
- 使い方: 協定を結んだタクシー事業者で、本人が乗車しているときに使います。料金が1,000円未満なら1回に1枚、1,000円以上なら2枚までです
- 申請: 運転経歴証明書の写しと交付申請書を、電子申請、郵送、長寿支援課の窓口のいずれかで出します。申請期限は設けられていません
2つの市を比べると、必要な書類も期限も違います。鶴岡市は取消日から1年以内、八千代市は期限なしで、運転経歴証明書の写しが必要です。
受ける前に、次の点を確認してください。
- 自分が対象か(年齢、住民登録、返納した時期)
- 申請の期限(返納から1年以内などの例があります)
- 必要な書類(運転経歴証明書、取消通知書など。返納したときに受け取る書類を捨てずに保管します)
- 使える範囲(事業者や地区が限られる例があります)
- 制度が続いているか(変更や中止になる場合があります)
返納を考える段階で家族が相談できる窓口は親に免許返納を勧めたいときで、返納した後の車の手続きは免許を返納したあと、車はどうするで扱っています。
出典
- 警察庁「運転免許証の自主返納について」 https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
- 警視庁「運転免許の自主返納をサポート」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/henno.html
- 警視庁「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/tokuten.html
- 警視庁「運転免許証の自主返納・運転経歴証明書」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/korei/henno_keireki.html
- 山梨県警察「運転経歴証明書の申請」 https://www.pref.yamanashi.jp/police/p_menkyo/menkyohennou.html
- 鳥取県「運転経歴証明書・マイナンバーカードへの運転経歴情報の記録」 https://www.pref.tottori.lg.jp/179144.htm
- 港区「運転免許証の自主返納」 https://www.city.minato.tokyo.jp/koutsutaisaku/driverslicense.html
- 世田谷区「運転免許の自主返納」 https://www.city.setagaya.lg.jp/01420/573.html
- 鶴岡市「運転免許証の自主返納を支援します」(2026年4月13日更新) https://www.city.tsuruoka.lg.jp/anzen/kotsuanzen/jishuhennnou.html
- 八千代市「高齢者運転免許証 自主返納支援事業」(2026年10月1日更新) https://www.city.yachiyo.lg.jp/soshiki/24/2896.html
いずれも2026年11月5日に確認しました。市や事業者の支援は、変更や終了があります。申請の前に、実施している窓口で最新の内容を確かめてください。